【MARS160現地レポート60日目その6・11/30】
これまでの60日間のまとめ。(このレポートはコマンダーのアレクサンドルがクルー各人に提出を求めたもの)
最後は隊長のレポートです!
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●コマンダー アレクサンドル・マンジョ
火星に行くことは子供のころからの夢であった。今回のMars160ミッションは、自分自身が火星について本当に探究し続けたいのかを考え疑っていた。
でも今回のミッションは私にとって最高の経験になった。このミッションの後、もし火星が自分の目標ではないと考えたなら、ほかの道に進もうと決めていた。
もし3年前のMars360の申し込み時に戻ったのであれば、私は次のように書いただろう。「火星への飛行中に最悪の出来事を恐れるのであれば、その代わりに与えられた危機的状態から最善の方策を見つけるべきだ、と信じる。」
われわれのクルーは火星に行くわけではない。ただ、このミッションが、いつの日か有人火星ミッションまでの道のりの一部になってほしいと願っているだけである。そして、クルー全員が期待した以上の結束を得るのに十分な内容であった。
私たちは時には困難な場面に遭遇することもあったし、分裂しそうになったこともあった。
推測ではあるが、このことはクルー宇宙飛行士が実際に火星探査をするうえではさらに深刻になるであろうと考えるべきであろう。
仲間のクルーは日々私に正しいことを示してくれた。そして私も彼らの仲間であったとに大変誇りに思う。
このミッションは今年の初めに、私用の宇宙服のプロジェクトを始めたときから開始している。このプロジェクトを達成するために学習すべき必要な能力は、ゼロからウェブサイトの立ち上げ方法、すべての電子機器を接続してそれらの使用方法といったものである。そして当然ながら、新しい製品の開発に横たわるすべての困難に立ち向かわなければならなかった。いくどとなく諦めようとする気持ちが湧いてきた。でも私は猛烈に信じることで諦めずに追求し続けました。
そして、その後、自分のプロジェクトは少しだけ注目され、有望なコンタクト先も確保できました。いつのひか、このハードウェアは本物の宇宙服に完全に組み込まれるかもしれません。このミッションで行ったすべてのことは、自分にとってはちょうどこんな感じでした。
今回のミッションにはなにかある、それもある種のオーラのようなものが。ミッションでは多くエネルギーを消耗する代わりに、多くのエネルギーと喜びが湧きかえってきます。この力は動機付けをさらに飛躍に引き上げることでしょう。

 

【MARS160現地レポート60日目その7・11/30】
これまでの60日間のまとめ。(このレポートはコマンダーのアレクサンドル・モンジュールがクルー各人に提出を求めたもの)
あと一人アナスタシアのレポートです。
●Anastasiya Stepanova – Health and safety officer
アナスタシア・ステパノワ(衛生安全担当)

ジャーナリストとしてこのミッションが始まり、衛星安全担当者、及び科学研究棟の微生物学者のアシスタントとして終えようとしている。火星での複数の作業を同時に処理するのはMDRSでは大変重要であり、私たちはこれを毎日こなしています。
この数か月間の私の経験から確信したことは、大きな目標があれば、人間は早く学習でき、効率的に反応し、一生懸命働き、そしてどんなことでも対処できるということです。
動機付けは内面的な強さを呼び起こし、これまで考えられないことを達成する助けになります。
Mars160ミッションは我々の次のような目標達成を試しています。我々は目標達成をどれだけ望んでいるか? 我々は目標を実行する準備ができるか? 我々の限界はどこなのか?
Mars160ミッションは、他の宇宙機関がしていなかったことを試しています。例えば、模擬基地に集まる前に一緒に働いた経験もなければ訓練も受けていない人々を一か所を揃えたこと、ミッションサポートとの通信に新しい方法を取り入れたこと、地衣類の微生物学的研究プロジェクトを行っていること、新しい生物再生可能生命維持システム(Bio Regenerative Life Support System)の導入、科学データのパックアップとしてドローイング(描画)を使用すること、宇宙服を着用しての科学サンプリング調査の手順と、宇宙を着用しないサンプリング調査の手順との違いの調査などを行った。すべては模擬体験である。
目が覚めてから夜寝るまでMDRSでは常に学習が続いている。エンジニアリング、コンピュータサイエンス、地質学、微生物学、建築、サンプリング、執筆、英文法、農業、ドローイング、ヒーリング、動画撮影、料理、清掃、運動、そして折り紙の作成、相互理解、内部作業、そして最良のクルーメンバーであること。この貴重な経験は火星への長い旅路の出発点に過ぎない。